20代、30代で卵子が少なくなり、閉経様となった状態です。
卵巣年齢を示すAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が低いという特徴があり、
数か月から数年に1回程度しか卵胞が出現しなくなります。
医学的には、早発卵巣不全・POI・DOR・低AMH・早期閉経などと呼ばれます。
無月経期間が3か月以上に及ぶと、
自己卵での妊娠ではなく、提供卵子で妊娠を目指すように推奨されています(ヨーロッパ生殖医学会)。
当院院長は、早発閉経の方の治療を10年にわたり行ってきました。
他院で「妊娠をあきらめて下さい」、と言われた方々に、 主治医として向き合ってきました。
10年の歳月で卵胞を出現させる様々な手法を開発し試みました。
ご夫婦が長い期間頑張り、信じてついてきてくださった結果、
200名以上にのぼる方々の妊娠に恵まれました。
その数は決して多いものとは言えないかもしれません。
ですが、不可能と言われた新たな命と新しい家族が誕生する瞬間に立ち会えたこと、
そこに主治医としてお手伝いできたことを、
妊娠治療にたずさわる者として大変幸運なことであったと感じています。
早発閉経の治療は依然としてまだまだ険しい道のりの途中にあります。
ご希望を叶えることができなかったご夫婦が、
妊娠された方と同数以上いらっしゃるという事実があります。
その方々が妊娠治療の中止を決断された日については、忘れることができません。
当院では、希望に届かなかい方が1名でも減るよう、日々新たな取り組みを行っています。
また、治療を十分に頑張ったというお気持ちが得られ、
後悔なくその先の人生に踏み出せるよう、
最大限のサポートをご提供したいと考えています。
早発閉経の方が妊娠するためには、
日々消滅していく残存卵子を、消えないように、見える大きさまで育て上げる事が必要です。
10年間、様々な試みを行いましたが、
最も効果的であったのは、
「日々のホルモン値に応じた最適な一手を、都度検討し、きめ細かく対応すること」
「残存卵子数に応じ、ホルモン値を上げたり下げたり、丁寧に調節すること」
でした。
そのために必要なのは、
早発閉経のホルモン動態に関する「経験に裏付けられた洞察力」と、
主治医制による「同一医師によるきめ細かな対応」です。
当院では、自信をもって、それらをご提供しています。
FSH・LHは低ければ良いというものではなく、また高ければ良いというものでもありません。
卵巣の状態、卵子残存数、女性ホルモンへの応答など、様々な状況を加味し、
FSH・LHをその都度、高めや低めに調節することで、卵胞出現頻度アップを促します。
薬の使い方によっては、卵胞発育をかえって阻害してしまうことがあります。
薬の使用法を初診時に変更しただけで、卵胞発育が復活する事例をしばしば経験するからです。
調節法の中心は飲み薬です。ここぞという卵胞発育時に、より強力な注射療法に切り替えていきます。
卵巣を攻撃し卵胞発育を阻害する因子を除去
卵巣の血流改善
卵胞発育に必要な男性ホルモン類の投与などの工夫を行います。
2021年10月より、厚労省(再生医療等委員会)の認可を取得し、ご提供している治療です。
成長因子を多量に含んだPRPを直接卵巣に注入します。
成長因子は細胞増殖を促します。
その結果、卵胞の細胞増殖が促され、消えゆく卵胞が減り、発育卵胞数の上昇が期待されます。
ただし、PRP投与だけでは卵胞は育ちません。
その他の早発閉経治療あってこその治療であり、補助的な位置づけとなる加療です。
当院では、長年の経験から、卵胞が見えない卵巣に対しても注入を行っています。
一般的に、卵胞が見えない卵巣を見つけることは困難で、針を穿刺できません。
早発閉経の方に対する採卵を1000件以上行ってきた経験があるからこそ、行える技術となります。
PRP(多血小板血漿)は、院内で採取した自己血から血小板を濃縮することで作成されます。
PRPには生タイプと凍結乾燥タイプがあります。
当院では生タイプをご提供しています。
生タイプは、厚労省の認可を取得し、PRPを院内で製造できる施設のみで使用することができます。
採血から60分以内に投与が行えますので、
分解の早い成長因子を、壊れる前に迅速に卵巣に届けることができるメリットがあります。
また、事前準備は不要で、行いたいときに行えます。
自施設内で製造と投与が行える分、コスト面でお安くご提供することも可能です。
早発閉経の方の採卵を、1000件以上行ってきた経験に基づき工夫を行っています。
卵子が少なくなると、採卵決定のタイミングに個人差が出てきます。
決定時期を誤ると、変性卵率・空胞率が上昇します。
当院では、個々の卵巣状況に応じ、最適なホルモン値・卵胞径で採卵決定します。
卵子数が少なくなくなることで、卵子の質が変化します。
卵子が壊れやすく、受精しづらくなります。
卵子に優しい環境を考慮し、最適な受精方法・培養法をご提案しています。